恋愛の始め方
だからこそ、この町を出る。

彼が傍に居たら、あたしは彼のことを追いたくなるから。

正しい恋の終わり方が、わからない。

わかりたくなんか、ない。


「・・・好き」


自然と零れた、その言葉に自分でも呆れてしまう。

どうにも出来ない想いが、暴走してしまわないように・・・

あたしは、医師と言う逃げ道を突っ走るしかないんだ。

振り返らないために・・・

逃げ道だと言われても、わかって居ても、進むしかない。

言い表せない気持ちを、少しでも落ち着けるために、深いため息を零す。

そしてシャワーを浴び、眠くもないのに布団の中へと潜り込んだ。

夢の中だけでは、幸せな時間を過ごせますように・・・

そんな願いを込め、ギュッと瞳を閉じた。

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