恋愛の始め方
間宮は、自分の住む町へと帰る。

あたしが住む町から、とても遠い町。

まるであたし達の心の距離のように感じてしまうあたしは、相当重症かもしれない。


「約束、忘れてねぇよな」


間宮はあたしの目線に合わせ、問う。


「待ってろってこと?」

「あぁ」

「何を、どうやって待つのよ」


そんなあたしの顎を軽く上げると、間宮は重なるだけのキスを落とした。


__チュッ__


リップ音が、ヤケに胸を焦がす。


「ハチ公みたいに、大人しく待ってろ」


ハチ公って・・・


「わかったか?」


その問い、あたしは小さく頷いた。

文句を言うことも、首を横に振ることも・・・

間宮の瞳を見つめたら、出来なかった。

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