恋愛の始め方
「志乃、患者さん来たよ」


診療所の机に居たあたしに、かなが声を掛けた。

そして、患者のカルテを手渡す。


「通して良いよ」


あたしの返事を聞き、かなが患者さんを呼ぶ。


「おはようございます、先生」

「おはようございます。具合はどうですか?」


そんなやりとりをし、患者さんのことを診る。

子供からお年寄りまで、年齢層の幅は広いが、大半はお年寄りだ。

待合室は彼らの集まりの場と化し、毎日誰かしら診療所にやってくる。

おかげで誰がどこの誰か、聞かなくてもわかる。


「一応言っとくけど、ここ診療所だからね!」


診察が終わり、いつもと同じようなやりとりが聞こえ、待合室に顔を出す。

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