恋愛の始め方
「この関係が良いことなのか?悪いことなのか?あたしには、わからない。それに良い悪いは、当人である、侑吾と志乃が決めることだし。でも」

「でも?」

「この関係に、未来はないよ?最後は必ず、どちらかが傷つく。一緒にいる時間が長くなればなる程、割り切ってても、割り切れなくなる。だから、覚悟はしておきなよ」

「覚悟?」

「傷つく覚悟。若い頃と違って、中々癒えてくれないから。年重ねると、涙脆くもなるし、朝まで泣いた時には肌のコンディション最悪よ」


なんだろう、この最後の脅しにも聞こえる忠告は。

尚更、恋なんてしたくないんですけど。

なんて、思っていたのに。

あたしはきっと、もう恋を始めてしまっていたんだ。

自分自身も、気付かぬ間に。

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