恋愛の始め方
自分の信念を貫き通した、お父さん。


「お母さんや直哉(なおや)、志乃にも迷惑掛けたと思ってる。だけど、お父さんは後悔してない」

「別に、謝る必要ないと思う。お父さんの人生だし、自分の好きに生きたら良い」

「そうか」


そう言い、お父さんは微笑む。


「志乃。お前は、直哉より俺に似てる。だから、きっと良い医者になる」


自分に似てるから良い医者って、自画自賛じゃん。


「だからこそ、あっちでもっと腕磨け。今のお前が戻ってきた所で、俺のレベルに毛が生えた程度だ。医者になったんだから、俺以上になれ。どんな病気も怪我も直せて、人が死ぬことなんてねぇように」


あたしは医師であって、神様じゃない。

そんなこと、無理に決まってる。

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