どん底女と救世主。


***



朝は弱い方じゃないし、早起きだってするけどやっぱり朝って忙しい。

だから、手際よく作業をこなしていく。


昨夜、課長からこの罰ゲームを告げられてから準備しておいたものを冷蔵庫から取り出す。

フライパンに軽く油を敷いて、取り出したジップロックの封を開け中身である豚肉と玉ねぎを広げると、ジューっといういい音ともに広がる生姜の香りに包まれた。


うん、卵焼きも綺麗に焼けたし、緑が少ないかなと思って作ったいんげんの胡麻和えもいい感じだ。ベーコン巻きも崩さず焼けた。

これをお弁当箱に詰め込んで、余ったおかずで晩ごはんの用意をすれば任務完了。


昨夜、課長の言っていた罰ゲームの内容とはなんと、『弁当を作って欲しい』とのことだった。


てっきり、とんでもないことでもやらされるかと思っていた私にとっては正直拍子抜けの内容だった。

まあ、突然だったから材料もお弁当箱もなくて24時間開いているスーパーに走ったわけだけど。


でも、居候として、家事を担当している者としてはお弁当を作るなんてむしろ業務の一部だし。自分の分のお弁当を作って持っていくことだってある。


だからこれくらいならいいかな、なんて思っていた数時間後、私の考えが甘かったことを思い知らされる。



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