どん底女と救世主。



いつも通り、別々に出社して業務をこなす。

課長はやっぱり会社では鬼上司健在で、今日もびしばし課内をひきしめている中、12時がまわり課内に午前の就業時間終了のチャイムが鳴った。


私の今日のお昼ごはんは、課長に作ったお弁当の残りをちょこちょこと小さなタッパーに詰め込んだもの。


自分の席でタッパーのふたを開け、まずは卵焼きに手をつける。


課長と暮らすようになってから、料理もあまり手抜きをせずに丁寧にするようになった。

卵焼きを作るときも卵液をきちんと濾したりなんかして。


勝と暮らしているときにも散々卵焼きを
作ったけど、一度も濾したりしなかったもんな。

ごはんを作っても美味しいとも言ってくれなかったし、あげく『今日はいらない』とか言って食べてくれないことだってあったし。

そういうときの余った朝ごはんが自分のお弁当になったりして。


しまった、嫌なことを思い出してしまった。

やめたやめたと気を取り直して卵焼きを口に入れたとき、課内がなぜかざわついていることに気がついた。


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