どん底女と救世主。
課長、まだ今なら誤魔化せます…!なんでもいいから、違うって言って!
そんな私の切なる願いも空しく、
「さあ?」
はぐらかすように首を傾げ、箸を進める課長に課内がどよめく。
目を丸くして驚きが隠せていない、長く付き合っている彼氏が居るはずの澤田さん。
そして、なぜか落胆する一課内の男性陣。
そんな一課のざわつきに、昼休みから戻って来た二課や三課の社員たちが何事かと、一応仕切りの役目を果たしている低いスチール棚越しに見ていく。
騒ぎを起こした張本人は、どういうつもりなんだと課長席に目をやると。
ばちりと目があった。
どうやら、いつからかこちらを見ていたらしい。
ちょっと、この騒ぎの中なんで私の方を見るんですか!こっちを見ないでっ…!
そう目で必死に訴えると、また、ふっと不敵に笑って視線を逸らす課長。
課長がなにを考えてるのか本当に分からない…。