どん底女と救世主。



そんな課長の言動と噂話に翻弄されながらも仕事をこなしていたある日。


「冴島、ちょっといいか」


課長席に座る深山課長が手元の資料を見ながら私を呼んだ。



「この資料なんだが、別の角度から分析できないか」


課長が目を通しているのは、私が作った旅行会社を通したグループツアーの今年度までの受注件数の推移と傾向の資料。

年々、少しずつ売り上げが下がってきていて、深山課長の見直し項目のひとつだ。

その中でも、ツアー内容の比較と近年の傾向を示したグラフを指差す課長。


やっぱり。そこの部分を指摘される気はしてた。


「たたき台に色をつけた程度なんですけど、まだ練り切れてなくて」


なんとなく深山課長から突っ込まれる気がして、作っていた別資料を慌てて課長のパソコンへと送る。


「これでいい。助かった」


送ったメールの添付ファイルを確認してそう言った課長に思わず目を見開いてしまった。


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