どん底女と救世主。



「でも深山課長って大分丸くなったよな」

「まあ、確かに」

「え、あれでですか?!」


今でも充分厳しいが、昔に比べると半減したようにも思える。中田君は驚いてるけど。


「あれかな。例の手作り弁当の彼女の影響じゃないか」


あの鬼を丸くするなんてどんな女なんだ、と興味深そうに話す濱下さんに苦笑いしか返せなかった。

そのお弁当作ってるの私なんです。彼女じゃないけど。課長に何の影響も与えてないと思うし。


なんて言えないまま仕事に戻り、終業時間まで仕事をこなしたけど、結局終わらなくて今夜は残業だ。


集中したけど中田君に頼まれた仕事までは行き着かずに気づいたら20時過ぎ。

さすがの営業1課も、週明けから残っているのは私と課長しかいない。

まあ、接待で社外でお仕事してる人もいるんだろうけど。


そろそろ切り上げるかと、作成していた資料を保存しパソコンの電源を落としていると、課長のパソコンからも終了音が聞こえた。


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