どん底女と救世主。
もう一度周囲を要確認し、助手席に乗ると、シートベルトをしめる。
お願い、誰か来る前に車を出して!と心の中で課長に訴えたけど、全くもって通じず。
エンジンをかけ、暖房をマックスにした課長はようやくシートベルトを締め始めた。
11月の車内はまるで冷蔵庫の中のように冷たい。
しかも地下だから余計に冷える。
最初は冷風しか発さないエアコンに少しイラついた様子の課長。
そんな課長に、課長でも寒いものは寒いんだな、なんて当たり前のことを思っているとやっと緩やかに車が進み始めた。
地上に上がり、車道に出ると車のライトがなんだか目に眩しくて、反射的に目を細める。
2度目である課長の車の助手席は、やっぱり落ち着かない。