どん底女と救世主。



隣をちらりと見ると、ハンドルを握る課長の姿が目に映り余計に落ち着かない気持ちになったとき、


「なにか食べて帰るか」


今から作るのは面倒だろう、と課長が言ってくれた。
もう少しで21時。正直図星で、今から帰って晩ごはんの準備は面倒だなと思っていたところ。


「ラーメンでも食べに行くか?」


ハンドル切りながらそう提案してくれる課長の優しさに胸が暖かくなるのを感じる。


将来良い旦那さんになりそうだな、なんて。

深山課長相手に何とんでもないことを考えてるんだろう、私。

おかしな考えを振り払うように思い切り頭を振る。

思い浮かべてしまったのは、深山課長の優しさに支えられて生きる未来。


最近あまりにも課長との距離が近過ぎて、優しい言葉に舞い上がってつい図々しいことを考えてしまった自分が恥ずかしい。


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