どん底女と救世主。



散々迷って選んだのは、もやしたっぷりのヘルシーラーメン。
スープが大分こってりの豚骨ベースだから、全然ヘルシーではないけど。


予想以上に多いもやしをかき分け、麺をすする。


「美味しい…」

「うまいな」


マイルドで口当たりのいいスープが芯まで染み込んで、少し冷えていた身体を温めていく。

課長もご満悦のようだ。


「今日もうまかった」


深山課長が3分の2を、私がやっと半分くらいの量を食べ進めていたとき。

今まで食べることに集中していたはずの課長が、突然よくわからないことを言い出した。


美味しかった?まだ、ラーメン食べ終わってないよね。
しかも、今日もってどういうこと?

言葉の意味がよく分からず、頭をひねっていると、


「弁当」


と短く課長が答えをくれた。

ああ、お弁当のことか。ラーメンの話かと思った。


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