どん底女と救世主。



初めて作ったあの日以来、作り続けているお弁当。

食べ残しもなく綺麗に食べてくれるだけでも嬉しいのに、そんな言葉までくれるなんて。
なんだか胸がジーンとして、更に鼻の奥までツンとしてきた。

やっぱりこの人、良い旦那さんになりそうだな、なんて。

またも広がりそうになった変な妄想を打ち消すように熱いスープをすする。


よし、明日からはもっともっと美味しいお弁当を目指して頑張ろうと気合いを入れた矢先、


「あ、明日弁当いらない」


と出鼻を挫かれた。


「明日の昼は、今アプローチかけてる先の社長と食べる予定だった」

「社長さんと…」


なにやら大きな案件を進めているらしい課長は、管理職というポストに就いても
第一線で戦う忙しい営業マンに変わりない。


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