どん底女と救世主。



「そ、そういえば噂になってますよ、お弁当。彼女の手作りなんじゃないかって…」


声がだんだんと尻すぼみになっていくのは、自分の間違いに気づいたから。

話題を変えるなら思い切り変えればいいのに。結局お弁当の話から抜け出してない。

でもまあ、気になってたことだしこの機会に聞いておこう。


「良いんですか?そんな根も葉もない噂が広まり続けてますけど」

「いいんじゃないか」


麺のなくなったスープをすする課長は、他人事のように答えた。



「深山課長って…」

「なんだ?」

「私を女避けに使ってませんか?」

「は?」


虚をつかれた様子で目を見開く課長に言い募る。


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