どん底女と救世主。


結局スーツはクリーニングに出すことにして、飲み終えた自分のコーヒーカップをシンクで洗っていると課長がお風呂から上がってきた。

その時間、わずか5分程度。烏の行水にもほどがある。


タオルで髪を拭く深山課長に、早いですねと声をかけながら、冷蔵庫の中にあるミネラルウォーターを取り出す。

課長に渡そうとして、言いたいことがありそうなその視線にやっと気付いた。


ん?なんでこんなにジロリと見られてるの、と一瞬疑問に思ったものの、その答えはすぐにピンときた。

寝てろと言ったのに、とその目が語っていたから。


「いやいや、課長のお風呂は短かすぎますよ」


さすがにこの時間じゃ寝られないですって。

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