どん底女と救世主。


「まあ、起きてると思ったけどな」


そう言いながら水を受け取った課長は、すぐに口をつける。

ごくごくと動く課長の喉仏。そのセクシーさに不覚にも目を奪われてしまう。

そんな私を尻目に、ん、と課長は冷蔵庫を指しリビングへと向かってしまった。


一体なんだろう、そう思いながら指された冷蔵庫の扉を開ける。


あれ、なんだろうこれ。

そこには、見覚えのないコンビニの袋が入っていた。

晩ごはんの準備をしていたときにはなかったから、きっと接待から帰って来た課長がいつの間にか入れたんだろうな。
というか、お水出したときは全然気づかなかった。

注意力のない自分に呆れながら冷蔵庫から袋を取り出す。
中身を見ると、ビールと缶チューハイ、それにコンビニの、


「プリン!」

「冴島好きだっただろ?」


深山課長が名古屋に行く前、当時の課長によくプリンで買収されて残業させられていた私。覚えてくれたんだ…。

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