どん底女と救世主。
「そんな、希ちゃんがそんなことするなんて…」
希ちゃんは私にとって可愛い後輩だった。
そんな彼女が、私の彼氏を奪い、あまつさえありもしない噂を自分の保身のために流すだなんて。
「私は前から、あの子絶対性格悪いと思ってたけどね」
至極不機嫌そうにそう言うと、今度は箸でビシッと私を差しながら、
「ていうか、あんた何で野田君の裏切りより園田 希の裏切りに傷ついてるのよ」
と、絵里の放った言葉ずきりと私の胸を刺す。
勝の裏切りに傷ついてないわけがない。
でもなぜか私の中で、希ちゃんの裏切りのほうが比重が大きくて。
それは、自分でもなぜだかよく分からない。
頭の中がぐちゃぐちゃで、なにもかもよく分からない。