どん底女と救世主。
「ちょっと、課長どこに行くんですかっ…!」
課長の足はエレベーターホールを過ぎ、給湯室へと向いていた。
給湯室に辿り着いた瞬間、
ーーードンッ
「ーーっ…!」
給湯室奥にある冷蔵庫へと背中を押し付けられた。
目の前には、課長の顔。
少し腰をかがめているから、目線が同じになっていて、そのまっすぐな瞳とかち合う。
思わず目をそらすと、顔の横には課長の腕が。
今の私に逃げ場なんてない。
え、もしやこの状況って壁ドンというやつでは…?!
人生初の状況に頭の中は完全に真っ白だ。
おまけに顔からは火が、口からは心臓が出そうになっている。
私、なんでこんな状況になってるんだっけ…?
もう頭がショートしかけていたとき、目の前の課長がゆっくりと口を開いた。