どん底女と救世主。
デートだと思ってもいいですか?
あれ、またここの入力ダブってる…。
「うぅぅ…」
「どうしました?冴島さん」
頭上から聞こえた声に、はっとして顔を上げると心配そうな顔の中田くんが居た。
しまった、今の呻き声聞こえちゃってた?
「ごめん、ごめん。何でもないよ、大丈夫だから。」
できる限りなんでもない風を装うと、何かあったら言って下さいね、と人の良すぎる中田くんはそう言って自分の席へと戻って行く。
ああ、だめだ。仕事が手につかない。
昼休憩から帰ってきてもう2時間は経とうとしているのに、1ミリも仕事が進んでない。
それもこれも、課長のせいだ…。
ちらりと課長席を盗み見ると、何事もなかったようにシレッとした顔で仕事をしている課長。
なんだか無性に腹が立って来ると同時に、さっきの出来事がフラッシュバックしてもうどうしたらいいか分からない。
「はぁぁ…」
中田君にまた心配をかけないよう、今度は小さめにもう何度目になるか分からないため息をつく。