どん底女と救世主。


課長、明らかに怒ってた…。
なんで、あんなに怒ってたんだろう。

私、課長を怒らせるようなことした?
居候の分際で合コンなんて行こうとしてたから?

あぁ、きっとそれだ。そうだよね、そんなことしてる場合か!って感じだよね。
課長が怒るのにも納得だ。


もしくは…。嫉妬、とか?

いやいや、それこそないか。私が合コンに行くくらいで、あの課長が妬いたりするなんて。

ないない。あるわけないじゃん。
うん、ないよね。ないのか…。

忙しなく色んな感情が飛び交う私の心の中。

あれ、私今ショック受けてなかった?


「自分の気持ちさえ分からなくなってきた…」


ほとんどため息に近いような声で吐き出した胸の内は、隣にさえ聞こえないうちに課内の喧騒に打ち消された。


抱えていた頭をあげると、PC画面にはおびただしい改行の数。
どうやらエンターキーを押したままにぼーっとしてたらしい。


もう一度ちらりと課長を見ると、いつもと変わらず仕事を進めている。
相変わらず何を考えているのか分からない。

けど。

どちらにしても、課長の機嫌を損ねた事実に変わりはなくて。


ああ、家に帰りたくないな…。


< 155 / 260 >

この作品をシェア

pagetop