どん底女と救世主。
結局、課長の言葉に甘えてお風呂に入り、おでんをテーブルに並べるといつもと何ら変わらない雰囲気で食卓を囲む私たちふたり。
昼間のことを謝ろうかとも思ってたけど、課長ももう怒ってないみたいだし下手に掘り返さないほうがいいよね。
引っかかる点は多々あるけど、今は目の前のおでんを堪能しよう。
そう結論を出した私は、テーブルの真ん中に置かれた土鍋の蓋を開ける。
同時に湯気が出て、ふわりと出汁の匂いか部屋へ広がった。
うーん、良い匂い。疲れとかそういうの全部吹っ飛んで、ほっこりとする心に染みるにおいだ。
課長も心なしか頰が緩んでる気がする。
オーダー通り大根に卵、がんもと牛スジの代わりの手羽元を器に入れて手渡すと課長は最初に大根を箸で割った。
中の方が白くなってない。しっかりと出汁が染みてるようで安心だ。
割った半分の大根を口元へ運ぶ課長をどきどきしながら見つめていると、
「美味い」
「本当ですか?わあ、良かった…!」
本当に美味しそうに食べ進める課長に一安心。お口に合って本当に良かった…。
安堵してから、私も大根を一口齧る。
うん、しっかり出汁が染みてる。美味しい。