どん底女と救世主。
「ここですか?」
「ああ、ちょっと買いたいものがあって」
私の願いが通じたのか、たどり着いたのは会社ではなく少し離れたところにあるショッピングモールだった。
まあ、さすがに会社はないか。
と言っても、ショッピングモールも予想はしてなかった。
今日でちょうど12月。
街はもうクリスマス一色で、このショッピングモールも例外じゃない。
クリスマスセールの文字がどこそこで目につく。
天井のきらきらと眩しい装飾、流れているクリスマスソング。建物の真ん中に置かれた大きなクリスマスツリーは、もうすぐクリスマスだと言うことをしつこいくらいに主張している。
「もうクリスマスか」
「今年ももうすぐ終わりますね」
「早いな…」
「早過ぎますよ…」
ふたりともしみじみと言う。なんだかお互い歳を感じる会話だな。
ごった返す人混みの中そんな会話を交わしながら、取り敢えず課長とはぐれないよう気をつけながら進む。