どん底女と救世主。
胸と胃の痛みに耐えながら、なんとか仕事をこなすこと2時間。
時計は15時をまわり、そろそろ休憩でもするかとデスクの上の空になったマグカップを手に椅子から腰をあげると、派遣の澤田(さわだ)さんが電話を片手に私の名前を呼んだ。
「冴島さん、人事部の仙崎(せんざき)さんが今から来て欲しいとおっしゃってますが。」
「人事部の仙崎さん?」
あまり接点のない人物からの呼び出しに思わず眉をひそめる。
人事部が私になんの用?
今から行くと伝えてもらい、とりあえず人事部へと急ぐ。
人事部からの呼び出しなんて初めてだ。
一体なんだろう。
検討なんてつかないけど、なんとなく良いものじゃないような気がして。
もうこれ以上厄介ごとは抱えきれない。勘弁してよ。
そう心の中でどんなに叫んだとしても、神も仏も全く聞いてやくれないらしい。