どん底女と救世主。
課長、買いたいものがあるって言ってたけど一体なんだろう。
目的も何も知らされず、きっと目的地を目指しているだろう課長について行くだけで必死だ。
そんな必死の中、私は気づいた。
なんだか妙に視線を感じる。それは私にではない。課長にだ。
さっきから、女の人とすれ違う度に振り返られている課長。
本人は全く気づいていないみたいだけど、『見た?あのイケメン』『あの人格好いいー』などと黄色い声がちらほらと聞こえる。
一応私の存在に気付いているからなのか、声まではかけられてないけどすごい人気だ。
深山課長が格好いいのは知っていたし、会社でもモテるけどこれほどまでとは…。
一歩先を歩く課長を見上げると、たしかに整った横顔。
すらっと伸びた足と、程よく筋肉が付いていることが分かる上半身はバランスがよく取れている。
それに、グレーのニットに紺のコーチジャケットを羽織ったコーディネートもセンスがいい。