どん底女と救世主。


ふと、自分の格好を見下ろしてみる。


首元にビジューの付いたくすみピンクのニットワンピにショートブーツ。

うーん、普通。それに、自分で言うのもなんだけど、顔もスタイルも普通の私。


どう見ても、歩いてるだけで女の人の視線を浴びてしまうような深山課長とは釣り合ってない。

いや、そもそも課長と付き合っているわけじゃないし釣り合うとか以前の問題なんだけども。


周りのカップルや家族がやけに目に付く。羨ましいな、なんて。


私と深山課長もはたから見れば恋人同士に見えるのかな。

横を通り過ぎるカップルは、腕を組んでみんな幸せそうに歩いている。


手を繋いで、腕を組んでデートなんてもうどれくらいしてないだろう。
むしろ、デート自体もうずっとしていなかったように感じる。

男の人とこうやって出掛けるのは、いつぶりなんだろう。


釣り合ってるとか釣り合ってないとか、そんなのどうでもいい。だってそもそも付き合ってもいないし。

今はこの状況を楽しんでおこう。

< 171 / 260 >

この作品をシェア

pagetop