どん底女と救世主。


なるほど。

急に何でふたりでショッピングなんだろうと思ったら、プレゼント選びに駆り出されたというわけだ。


「苦手なんだよ、プレゼント選びとか。こどもの物には特に疎い」

「ああ、確かに…」


課長の目の前にディスプレイしてある、少し季節を先取りした服を着た赤ちゃんのマネキン。
その腕を掴み、雑に持ち上げながら言う深山課長の言葉には妙な説得力がある。

たしかに、深山課長とこどもってなんだか結びつかないな。


「いつ産まれたんですか?亀井主任のお子さん」

「10月」

「2ヶ月も前じゃないですか」

10月って…。今12月ですよ、課長。


「なにから見ればいいかもさっぱり分からん」


遠い目をして周りを見渡す課長は本当にこういうことが苦手らしい。


「贈り物コーナーもあるし、まずそこから見ていきましょうか」


お店の奥の方にあるそのコーナーを指差してそう言い、ふたりで目指す。


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