どん底女と救世主。
ひとりで軽くパニックに陥っているのを隠しながら、ちらりと課長を見ると。
課長は膝の上の猫を撫でながら、未だ本部長への愚痴を呟いている。
その手つきは優しくて。
猫は気持ちよさそうに目を細めて、ごろごろと鳴いている。
ああ、猫になりたいな…。
あれ、私今なにを思った?え、猫になりたいってなに。
ああ、私もうダメかもしれない。
ずっと見ないふりをしていた。敢えて気づかないふりをしていた。
誤魔化し続けるにも限界が来た。
それと同時に、なにかが変わっていく予感がした。