どん底女と救世主。
うちとはこれまで何の繋がりもない会社だったけど、新聞で新規上場の記事を見た深山課長が自らアポイントを取って出向いたそう。
課長が毎朝読んでいる3社ほどの新聞と経済誌はこうやって役に立つんだな。
相手の社長さんも深山課長を気に入っているみたいで、今後のお付き合いも是非と言われているとか。
前にアプローチかけてるって言ってたところかな。
これは紛れもなく課長のお手柄だ。
やっぱりすごいなあ、課長は…。
一課の課員たちから拍手喝采を浴びる課長をぼんやりと見つめていると、なんだか課長の存在が遠く離れていく気がした。
そこに居るはずなのに、なんだか遠い。
私も一課の一員なんだからあの輪に入って行けばいいのに。
なぜかそれが出来なくて。
いやいや、私なに考えてるんだろう。
こんなにおめでたいことなのに。
だめだ、ちゃんとお祝いしなきゃ。