どん底女と救世主。


そうだ、今日はご馳走を作ろう。


何にしようかな。ちょっと高いお肉でも買おうかな。
ステーキ?いや、国産牛ですき焼きっていうのもいいな。

そして、もちろん発泡酒じゃなくて生だよね。


そう今夜の献立を考えていたとき、


「今夜は祝勝会だな」

「お、いいですね!パーっと行きましょう」


そう、だよね…。

部長の一言で更に盛り上がりを見せる課内の雰囲気にひとり肩をがくりと落とした。


こんなときに飲み会しないでいつやるんだ。もともと呑むことが好きなメンバーだしな。


なんだか、寂しい…。


いやいや、だからこんな気持ちになったらだめだって。
というか、寂しいってなんだ…。


自分でも理解できない感情がぐるぐると心をかき乱す。


そんな想いを持て余し、どうしていいか分からなくなったとき、甘ったるい鼻にかかった声が耳に届いた。



「さすがは深山課長!おめでとうございますぅー」



この声は…。



ーーー希ちゃん…?


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