どん底女と救世主。
「まあ、私も人事マネージャーとして冴島君がそんなタイプじゃないことはわかっているんだ」
その言葉にほっとしたのも束の間、仙崎さんの話は最悪な方向へと一直線に向かっていく。
「最近、社内でのいじめが原因で自殺なんてのも多いだろう。だから上もこの手の話には敏感なんだ。ゆえに、君の人事異動も考えている」
「配置換えということですか?」
「いや」
素早く否定した仙崎さんに嫌な予感が走る。
「数年前に我がホテルが離島に進出しただろ?あそこは万年人手不足でね」
なんせ離島だから、と付け加えた仙崎さんの話があまりにも突飛押しもないもので頭が真っ白だ。
「離島に行けということですか…?」
絞り出した声はわずかに震えていた。
「いや、今すぐじゃないんだ。ただ、コンプラ部に君のことを訴えに行った社員は君が別ホテルへ異動することを希望しててね。このまま訴えを取り下げて貰えなければそういう可能性もあるということだ」
要するに左遷ってこと?しかも離島に?
身に覚えのない罪が原因で?