どん底女と救世主。


私たち営業部が宿泊や宴会の契約をとって、サービス部門のスタッフ達がお客さんをもてなす。

上層部が言い出したらしい今日の合同忘年会は、持ちつ持たれつの関係である私たちの交流を深めることが目的だとか。


まあ、忘年会だけではなく定期的にそういった場を設けろと突然言われ、近いところで取り敢えず忘年会から、となったらしいけど。


「参加者はほとんど営業部の人間ですね。代わり映えしないメンバーです」

「サービス部門の人たちは何人くらい来るの?」

「えーっと、いまのところ10人も来ないですね」


10人か。サービススタッフなんて、この会社の社員の半分を占めるほどいるはずなのに。

でもそのくらいの人数で良かったかも。

だって、サービススタッフの出席が多かったらそれこそ、バンケットホールを貸し切る規模の大宴会になってしまう。


経営陣のこういう突飛な提案は、現実味を帯びてないときが多々あるからな。


こんなときに幹事なんて可哀想。

ご愁傷様、なんて心の中で思いながら中田君に出席の返事をした。

< 203 / 260 >

この作品をシェア

pagetop