どん底女と救世主。


「冴島さん!」


どこに座ろうかとキョロキョロと会場を見回していると、こっちこっちと2課で同じく営業事務をしている若槻(わかつき)さんが手招きをしてくれているのが見えた。

良かった…。


若槻さんは、同じ職種、しかも課がお隣さんということもあってよく話す同い年の女性社員だ。

気を遣わなくていい話し相手の近くに座れることに安堵しながら若槻さんの席に近づくと、そこは2課の女性社員が集まった席だった。


若槻さん以外は女性営業マンである2課のお姉さま方に歓迎されながら腰を下ろす。


『何飲む?』『冴島さんって飲めるの?』『外寒かった?』と矢継ぎ早に飛んでくる質問に答えつつ周りを見渡すと。


希ちゃんは営業本部長の隣、サービス部門長の前というなかなかの席に居た。

すごいな…。

にこにこと部長たちの相手をする希ちゃんに思わず関心してしまった。

どうやらその席が今夜の上座らしい。


その中に深山課長の姿はない。
課長はまだ来てないみたいだ。忙しいのかな。


と、上座のメンバーをチェックしていると、その横の卓に予想外の人物を見つけてしまった。

え、嘘?!

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