どん底女と救世主。

なんで…

なんで勝が来てるの?!


今夜は来ないと思っていた勝の姿に、背中に汗が滲み始め、急に気分が落ちていくのを感じる。

なんで来てるの、あんた一番忙しいはずでしょう。


無理矢理連れて来られたのか、サービス部門のスタッフが集まっているそのテーブルは皆疲れた顔をしている。


まあ、いいか。気にしない、気にしない。
関わらないようにしておこう。

人数も多いし、お互い避けるだろうし。
よほどのことがなければ絡むようなことはないだろう。


「冴島さん、お酒でいい?」

「はい、生で!」


取り敢えず今夜は飲もう。

今日は忘年会。この1年間、特に最後の3ヶ月間くらいだけど、色々なことがあった。
自分でもよく踏ん張ったと思う。


よし、今日は全部忘れて楽しもう。


皆にお酒が行き渡ったり、中田君がたどたどしく乾杯の音頭をとる。


「乾杯ー!」


グラスがぶつかる音が部屋に響き渡り、宴会がスタートした。


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