どん底女と救世主。

「うーん、でも深山課長の彼女ってあのお弁当のでしょう?」


答えた一番お酒を飲んでいるお姉様が、ちらりと希ちゃんを見やる。


「そんな仲には見えないのよね」


そう言われて見ると、希ちゃんは課長にあしらわれている様に見える。

ベタベタと触られる度に眉を顰めている。様にも見える…。


まあ、これは私の願望が見せてるだけなのかもしれないけど。


「毎日手作り弁当を待たせてるってことは、一緒に住んでるんだろうと思ってたんだけど、あのふたりはそういう距離じゃないでしょ」


確かにどう見ても、希ちゃんが猛烈プッシュを掛けている。

深山課長の気持ちは全然分からないが、この様子からは『想いが通じあっているふたり』、という風には見えない。

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