どん底女と救世主。
「ありがとうございます。私、全然知らなくて…」
「いいの、いいの。冴島さん悪くないもん。災難だったね」
今度一緒に合コンでも行く?と笑いながら言ってくれる皆の優しさが心に染みる。
「深山課長もさ、そんなことする女に靡かないよ」
そんな中、課長にお酌する希ちゃんを見ながらお姉さんがぽつりと吐き捨てた。
でもな。
希ちゃんは、可愛い。
くりくりな目は吸い込まれそうになるし、グロスたっぷりのツヤツヤの唇は女の私でもドキッとする。
今がどうであっても、これから先課長と希ちゃんが『想いが通じあってるふたり』になる可能性は否定できない。
むしろ高いんじゃないかな、なんて。
実際、勝は、私の元彼は希ちゃんを選んだ。
それが一時的なものだったとしても、確かにその瞬間は彼は私よりも希ちゃんを選んだんだ。
私はその瞬間、希ちゃんに女として負けたんだ。