どん底女と救世主。


「え?」


今、何て言ったの?やり直す?

一瞬、時が止まって、立ちくらみのように目の前がぐらりと揺れる感じがした。


「それ、本気で言ってるの?自分が何したか忘れたの?」

「希とはもう会ってないし、もうあんなこと絶対にしない。俺には咲しかいないんだよ」

「そんな…」

「咲が居なくなって、咲がどれほど大事な存在だったか本当に身に染みてわかったんだ。次は絶対に大事にする」

「勝」


興奮したように捲し立てる勝を、そして自分を落ち着かせるように名前を呼び、ゆっくりと息を吐いた。


「私、もう勝のこと信じられない。だからもう無理だよ」


これはもう、どうしようもなくて。

けれど、ここまで言えば引き下がってくれるだろうと思っていた私の手をまだ勝は離してくれない。


「信じて欲しい」


いやいや、無理なんだって。

勝の目は真剣で、冗談を言ってる様子はない。引き下がる様子もない。

勝ってこんな人だった?もっと聞き分けよかった気がするんだけど。

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