どん底女と救世主。
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今日も安いビジネスホテルから出社する私は、今、人生のどん底にいる。
しかし、どんなに私がどん底に居ようとも地球は何ひとつ影響なく周り、お日様もいつも通りに昇るらしく。
今日も仕事に行かなければならなくなるのだ。
そろそろ新しい着替えを取りに行かなきゃな。
少し慣れてきてしまいつつある会社への道を歩きながら、勝のシフトを思い出す。
勝は今日も遅くまで仕事のはずだ。自分の仕事が終わったら急いで取りに行こうかな。
あの状況で着替えや化粧品をバックに詰めてきた私は、我ながら冷静な女だと褒めたい。
しかし、持って出た着替えもそろそろ底をつくころ。
ああ、でも行きたくないな。あの部屋に足を踏み入れたくない。
「はあ…」
なんで私がこんな思いしなきゃならないんだ。