どん底女と救世主。
素直になって。
「うそ、深山課長と咲がそんなことになってたなんて」
「ほら、言っただろ?」
信じられないような顔の絵理となんだかドヤ顔の矢部君。
そんな矢部夫妻を前に、肩身狭く座る私は今矢部家のリビングに居た。
あの日課長とああいうことになり、まともな言葉を交わさないまま朝を迎えた私は、課長と顔を合わせるなんてとても出来なくて。
課長の寝ているベッドから抜け出して、マンションを出た。
でも課長のマンションを出た私に行くところなんてなくて、どうしようかと迷った末に行き着いたのはマンションから少し離れたところにあるこじんまりとしたカフェ。
コーヒーとサンドウィッチだけで、一体何時間居たんだろう。
色々と考え出したら止まらなくなって、気が付いたら時間だけが過ぎていた。