どん底女と救世主。
「で、どうしたらいいか分からなくなってうちに逃げて来た、と」
「どうしたらいいか分からないと言われてもねー」
「だって、いきなりこんなことになって混乱しちゃって…」
語尾を伸ばしながらマグカップを両手で持ってふーふーと冷ます絵里がじろりと見るから、思わず言い訳がましくなってしまう。
そんな私の言い訳に突っ込んできたのは矢野君だった。
「いきなりじゃないだろう」
「え?」
「一緒に住んでたんだろ?今まで何もなかった方がおかしな状態だろ」
「そう、かな」
確かに一緒に住んでは居たけど、ふたりにそういう空気はなかった、様に思う。
一緒に住んでたというよりも、居候してただけという方が正しいし。