どん底女と救世主。
「課長のことが、好きです。課長の隣に、一番近くに居たいです…」
恥ずかしい…!
おそらく首まで真っ赤になっているだろう私に、課長は満足そうに笑った。
やっぱりこの人鬼だ!
文句を言おうとしたら頭に差し込まれた手に力が篭り、課長の顔にぐっと近寄せられた。
鼻と鼻が触れ合って、次は唇と思った瞬間、
「深山課長ー、冴島さん居ました?」
外から聞こえた声にふたりして固まる。
この声は、中田君…。
「ちっ」
なんて間が悪いんだ。って、会社でこんなことしてる私達の方が悪いんだけど。
うわ、深山課長が舌打ちなんてしてるの初めて聞いた…。
それから課長の中田君に対する態度が一層厳しくなったのは言うまでもない。