どん底女と救世主。
epilogue。
「希ちゃん、年明けから人事に異動って本当ですか?」
「本人の希望もあったしな。
上に話して辞めさせることだってできたのにお前がそうするなと言ったから異動で済んだんだ」
「一応謝ってくれましたし、異動するなら辞めさせることもないかなって」
「まあ俺としては、もう一度お前たちを組ませようかとも思ってたんだが」
うわ、やっぱり鬼だ。
大晦日。
お互い実家に帰らず、マンションで年を越すことに決めた私たちは少しリッチな国産和牛でのすき焼きをだらだらと楽しみながら会話を交わしている。
年末の音楽番組は、画面の中で最期の盛り上がりを見せていて、もう今年が終わるんだと告げ始めた。
私も無事このマンションに戻ってきて、早数日。
仕事納めも終えるとふたりで大掃除をしたり年末年始の買い出しをしたりと忙しく過ごしていた。