どん底女と救世主。
彼女の声に顔を上げると、やっと自分たちの番が回ってきたところだった。
ーー長い。
隣で目を伏せ、手を合わせる彼女は俺が終わってもまだ目を開けそうにない。
まだまだ祈り足りなさそうではあったが、後ろを気にしてようやく神前を後にする。
「やけに長かったな。なにをそんなに願ってたんだ?」
「課長が短すぎるんですよ。ちゃんと名前とか住所伝えました?」
「名前に住所?そんなものまで言わないといけないのか?」
「知らないんですか?ちゃんと自分の名前と年齢とあと住所、職業なんかも伝えないと願い事叶わないんですよ」
「神はなんでもお見通しじゃないのか」
だからあんなに長かったんだな。
「課長は何を願ったんですか?」
「俺か?俺は、」
答えようとすると、彼女の目が俺の返答に興味津々と言った感じにがらんらんと輝いていた。
そんな彼女をついからかいたくなってしまうのは、俺だけじゃないはずだ