どん底女と救世主。


答えを待つ間の主任の雰囲気は、最早禍々しいものさえあり、男性社員が泣いている姿を見たこともあるほど。

まあ、中田君もすでに泣きそうになってるけど。


主任に怒られた女性社員で、泣かなかった人って見たことないな。

私は極度の意地っ張りなので、主任に怒られて泣いたことはない。

影では、わんわん泣いてたけれど。


中田君が、なんとか主任から解放された終業時間まであと2時間を切ったころ。


今日は金曜日。きつかった一週間もあと2時間でようやく終わる。


もう少しだ、がんばろう。


そう自分に言い聞かせて、残りの就業時間を乗り切ろうとしていたとき、


「冴島」


低く響くその声が、私の名前を呼ぶ。



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