どん底女と救世主。
あれ…。
え、もしかしてここ深山主任の部屋?
嘘…。
昨日の夜、仕事を終えてから私は確かに深山主任とおでん屋さんに行った。
そして、酔っ払って、おでん屋さんの机に突っ伏して。
それから、どうした?だめだ、記憶がない。
記憶はないけど、酔い潰れた行き場のない私を深山主任がしかたなく自分の家に連れ帰った、という仮説が浮かんでしまう。
うーん、信じたくはないけど一番あり得る。
むしろここで、違う男の人の家だったら更に困るかも。
よし、寝室を出よう。
未だベッドの上にある重い身体を引き摺り、寝室の出口に手をかける。
煩い心臓の音とか、背中に滴る冷や汗とか、震える手とか。
そんなの無視して一思いにドアを開けた。
ーーーーがちゃ。
「起きたか」
やっぱり。
ベッドルームと同じく濃紺で統一されたリビングのソファの上で腕を組み、私の登場を待ち構えていたらしいその人物は、紛れもなく深山主任だった。