どん底女と救世主。
「家事を頼む。あと、荷ほどきも手伝え」
え、家事?荷ほどき?
よく見たら部屋の端にダンボールが積んである。
そっか、この人引っ越してきたばっかりなんだっけ。
「家事さえしてくれたら、家賃もいい」
「いや、さすがにそれは」
あまりにも破格な条件過ぎて思いっきり首を振る。
家事さえって…。家事するだけでいいの?
「その代わり食費を持て」
「それはもちろんですけど、本当に家事をすればいいんですか」
「ああ」
昔から家のことは苦手なんだと苦い顔をする課長を見る限り、どうやら本当に困ってるらしい。
へえ、意外。あの課長にも苦手なことがあったんだな。
というか、この話。どうしよう、魅力的すぎる。
食費を出して家事をするだけで住む部屋が出来る。
一週間部屋がなくホテル生活をしてきた私だからこそ、その素晴らしさがわかる。
問題なのは、あの深山課長と同居するということだ。