どん底女と救世主。

***


プチプラなのにアラサーの繊細な肌に潤いを与えてくれる優れものの化粧水と乳液をたたき込み、下地、ファンデを塗っていく。


薄めにアイラインをひくと、ブラウンのアイシャドウとマスカラをダマにならないように塗る。

ウォータープルーフなんて使わない。当然、泣く気なんてないから。


今日は、朝から勝と会う予定だ。
もちろん、話をつけるため。


昨日の夜、勝と連絡を取り話をすることに決めた。

今日は午後出だという勝に合わせて、午前中に会うことになったので、少し早起きをして準備しているわけだ。


別に、勝のために気合いを入れてお化粧をしているわけじゃない。

これは武装だ。何を言われても負けないための盾。


それに、勝にあんな裏切り方をされて、決着をつけるために会うっていうのによれよれの格好なんかで行きたくない。


傷ついた姿なんて見せてたまるか。


あんたが居なくても全然平気。そんな姿を見せつけたいのだ。


そこまで考えて、ため息が出る。

ああ、私はなんて可愛げがない女なんだろう。

< 73 / 260 >

この作品をシェア

pagetop