どん底女と救世主。
こんなことで心を乱されたくはないのに、やっぱり今日は冷静では居られないらしい。
どんどんと重くなっていく胃に、アイスコーヒーを流し込む。
少し肌寒い朝に不釣り合いなほど冷えたコーヒーも今の私にはちょうど良かった。
アイスコーヒーも半分ほど飲み干したころ、勝はやって来た。
横断歩道の向こう側、赤信号で止まっている姿を見つけてしまう。
少し疲れたような顔をしているのは、昨日の宴会のせいかな。
「悪い。遅くなった」
「ううん、全然。それより何にする?」
「ああ、ホットで」
そう言って店員さんに片手を上げる勝。
そうだよね、今日はホットだよね。
さっきと同じく、見知った顔の店員さんが愛想よく注文を受けてくれる。
ねえ、お姉さん私たち今から別れ話するんだ。
なんて、お姉さんに言ってもしょうがないけどさ。