どん底女と救世主。





「ちょっとあんた、彼女居るなら姉である私に教えるのが筋なんじゃないの?」


リビングで私の淹れたコーヒーを啜りながらそう言うこの人は、そう、課長のお姉さん。


課長のお姉さんがこの部屋にたどり着くまでに、頭がショートして固まっていた私に『今から来るのは姉だ』と説明してくれた課長。


『彼女じゃなくて?』

と、恐る恐る聞くと、

『彼女は居ない』

とのこと。思わず安心してしまったけど、お姉さんの来訪も結構まずくない?

すでに私を彼女だと勘違いしてるみたいだし…。


「あ、あの私は彼女ではなく、」

「え、違うの?彼女じゃないの?」


慌てて誤解を解こうとすると、目を見開いて食い気味に返してくるお姉さん。

確かに、こんな休日の午前中に弟の家に居る女なんて、彼女以外の何者でもない。普通は。

でも今、私は普通の状態じゃないんです、お姉さん。


これは勝との顛末をまた話さないといけないかなと、心の中で大きなため息を吐いたとき。

課長が二度目の爆弾を落とす。



「いや、彼女だけど」



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