マスカラにひかりをこめて



優花梨の話を適当に流しながら、席に着くと同時に注文していた出し巻き玉子とたこわさをひょいひょいとつまむ。



「あーーーー幸せ!
仕事終わりにビールを飲み!ふわふわの玉子とピリッと辛みのきいたたこわさを食べるこの瞬間!あー日本に生まれてよかった!最高!」



「一人で食レポしなくていいから」



呆れたように言い、優花梨はいただきますの仕草をしてから箸を手に取る。薄い桜色のピンクを塗った爪が、たこわさに集中していた私の視界にチラリと入る。



「食レポしてるつもりはない」



「はいはい……あ、このだし巻きは確かに美味しーね。たまごの美味しいお店って他の料理もだいたい美味しいよね」



さっきまでの呆れ顔一転、たまごを頬張りながら美味しそうに笑う優花梨。その笑顔に、女ながらにたまに見とれてしまう。


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